昭和大学横浜市北部病院 麻酔科 信太賢治教授にお話しをお聞きしました。
2020.07.08
教授に就任され1年ほど経ちますが、いかがでしょうか。
前任の小坂先生が築き上げたチームがしっかり機能しており、多種多様な手術麻酔に対応しています。2019年度は9000件以上の手術件数となりました。この辺りはニュータウンで人口も増えているエリアですから、患者さんの年齢層も幅広く、小児から成人、高齢者まで多種多様な疾患に対して手術が行われています。成人の心臓血管外科手術も豊富で、心臓血管麻酔専門医認定施設でもあります。手術麻酔の鍛錬を積むには適した環境だと言えますね。
今後、どのような医局を目指していきたいですか。
麻酔科医一人ひとりの専門性を高めたいと考えています。先生方には心臓血管麻酔や小児麻酔、産科麻酔、ICU、ペインなど、何らかのサブスペシャリティ領域の専門医取得をぜひ目指してほしいと思いますね。これは大学病院の役割として臨床・教育・研究を推進するために “指導環境を整える” という目的も含まれていますが、それ以上に “本人の自信になる” と考えているからです。当医局は比較的若い先生が多いので、麻酔科医としてのロードマップを示すことも大切だと考えています。自信をもてる「何か」を得てもらうことで、キャリアアップや勤務形態などの選択肢が広がるはずです。
研究活動について教えてください。
「鎮静」についての研究を進めようと考えています。鎮静は気道を確保しないため、全身麻酔よりも呼吸抑制によるによる低酸素症や低換気、循環不全などのリスクが高まります。鎮静に関する研究は、麻酔科領域よりも歯科口腔外科領域で行われてきた背景がありますが、幸い当院には歯科麻酔の先生もおります。呼吸状態のモニタリング方法や安全性の高い薬液量など、歯科麻酔の先生方と技術共有しながら、臨床現場に即した研究を行いたいと考えています。
麻酔科医を目指す先生方にメッセージをお願いします。
麻酔科はよく “縁の下の力持ち” と表現されますが、今や “病院を支えている” と言っても過言ではありません。保険制度の変化に伴い、病院経営と手術室運営が密接なものとなり、近年、手術室の中心にいる麻酔科医の位置づけも大きく変化しました。麻酔科医がさまざまな分野で活躍しやすい時代になっていると思います。 当医局は大学病院でありながら、とても和やかな雰囲気の医局です。COVID-19の影響でイベントの開催は難しくなってしまいましたが、忘年会や医局旅行なども大変盛り上がります。雰囲気の良さがチームワークや他科との連携しやすさにつながっていると思いますね。見学は随時行っていますので、ぜひお問い合わせください。
信太教授、ありがとうございました。
当院では年間約9,200件の手術があり、主要な手術のほとんどが行われています。そのうち麻酔科が管理する症例は年間約6,100件です。また手術室外でもメンタルケアセンターでECT(電気痙攣療法)の麻酔を年間約610件行っています。手術室に併設した周術期外来では歯科口腔外科、手術室看護師と連携し重症患者を中心に年間約1,400件の診察を行っています。