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インタビュー:梶原 崇弘先生(医療法人弘仁会理事長 板倉病院 病院長)

医療法人弘仁会理事長 板倉病院 病院長 梶原 崇弘先生にお話をお聞きしました。


 

【安岡】

病院の特徴と望んでいる人材を教えて頂けますか?


【梶原先生】

板倉病院は船橋にある地域密着型の中小病院です。そのため、年間約3000台の救急車を受け入れていて、主に高齢者医療を担当しています。救急隊とも良い関係が築けているので、手に負えないような患者さんが来ることはほとんどありません。

当院で働く医師や看護師に求めたいのは、高齢者医療を支える使命を理解している方ですね。仕事のオンとオフをしっかり分けてほしいので、勤務は9時から17時で、残業もオンコールもなしにしています。さらに、作業補助もいますので、書類業務もほぼありません。

病院として、働きやすい環境を整えていますが、この時間を「楽をするため」ではなく、勤務中はプロとしての仕事を全うしてもらいたいという考えで運営しています。


株式会社DEPOC インタビュー

【梶原先生】

また、病院としてのミッションとして、特に内科の先生には患者さんへの想像力を持ってほしいと思っています。

もちろん、治療のためというのもありますが、これからの病院の役割として、お看取りのケアも重要です。全員が最期を病院で迎えるわけではありませんが、退院後も在宅医療などさまざまなケア体制が必要になってきますし、お看取りまでのサポートに繋がります。そこで、残されたご家族にこれからの流れを予見してお伝えできるような能力が、とても大切だと考えています。

医者としての技術もある程度必要ですが、やっぱり人間力やコミュニケーション力がすごく重要だと感じています。そんな人に来てもらえたらいいですね。


【安岡】

なるほど。医師は技術だけでなく、コミュニケーション力は本当に重要になりますね。

女性医師が働きやすい環境も整えているとお聞きしていますが、いかがですか?


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【梶原先生】

そうですね。女医さんは全員で3名いますが、そのうち2人がママさんドクターです。実際、子どもが熱を出したときには、LINEでやり取りしています。皆で情報を共有していて「今日、子供の熱が出てしまいました。」とやりとりすると、みんな「こちらは任せて休んでください。」とお互い様の精神で、快く応じてくれる体制ができているので、遠慮せずに休むことができます。

男性医師たちも優しい方ばかりで、全然嫌な顔をせずにサポートしてくれているので、とても助かっています。


【安岡】

それは、医師同士の良い関係構築と、業務の割り振りがしっかりできていますね。出勤している時にしっかり業務を行うという考えや体制が取られていないと、できないですね。業務を押し付け合うのではなく、業務を分け合うという考えが浸透しているように思えます。


【梶原先生】

確かにそうですね。

当院の男性医師には、ママさん医師の仕事と家庭の両立の大変さも理解されていて、性格も良く嫌な顔せず対応してもらえますし、うちの内科は、必ず内科医が診なければならないわけではなく、もし手が足りないときは外科の先生が診るなど、柔軟に対応できる体制が整っています。そういうところも良い点だと思いますね。

また、家庭を大切にしながら働ける環境もポイントです。都内在住の方なら通勤は30分ほどで、渋滞やラッシュに巻き込まれない逆方向ですし、仕事と育児のバランスも取りやすいです。勤務中は患者さんにしっかり寄り添い、メリハリをつけて働いてもらい、オフの時間はきちんと帰ってリフレッシュできるようにしています。

その分、仕事中は「お互い様」の気持ちで配慮し合っています。うちはドクター以外の職種同士も仲が良く、部活などもいろいろと活動しているので、興味があればそうした活動にも気軽に参加してもらえたら嬉しいです。


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【安岡】

なるほど。タスクシフトといっても、「助け合い」「お互い様」のマインドが法人にも個人にも、無ければ、業務の押し付け合いになってしまって上手くいかなくなりますね。こういう所にもコミュニケーション力が重要と感じますね。


【梶原先生】

そこが上手くいかないと結局、タスクシフトって言ったって、シフトする人がいなければシフトも出来ないし、そもそもの業務量が多すぎてもタスクシフトにならないと思っています。自分は、無駄が嫌いなので、無駄な書類を省いたり、ドクタークラークを導入したり、医師やコメディカルが本当にやらなければならない仕事に出来る限り集中できるように体制を整えています。

特徴的な話が、以前、定年で当院を辞めて、ゆっくり働こうと施設に就職した先生がいらっしゃいました。1カ月もするとその施設を辞めて当院へ戻ってきました。理由を聞くと「無駄な書類が多すぎる」との事でした。戻ってこられてからは、訪問診療、施設の嘱託医など、新たな気持ちで、色々な業務をこなして頂いています。

院内の業務量の調節や職種間のタスクシフト、医師と医師のお互い様の精神など、今いる職員はコミュニケーションをよく取っているので、とても働きやすい環境ができて、患者さんに向き合うとても良い医療が提供できていると感じています。


【安岡】

ありがとうございました。

病院経営の方も非常に順調とお聞きしていますが、その辺りも、また教えて頂ければと思っています。


株式会社DEPOC インタビュー

【梶原先生】

そうですね。当病院を含めて6施設を運営していますが、現在では1施設を除き全て黒字の経営をさせて頂いています。どのような考えで病院経営を行っているかは、

著書「病院が地域をデザインする」https://www.amazon.co.jp/dp/4295409863

こちらに詳しく書いていますので、是非ともご参考に頂ければと思います。


【安岡】

こちらの著書、読ませていただきました!とても、参考になることがたくさん書いてありまして、病院経営に携わっている方には本当におススメです。

ありがとうございました。


 

【 インタビュー 】梶原 崇弘先生(医療法人弘仁会理事長 板倉病院 病院長)

         https://www.itakura.or.jp/index.html

【インタビュアー】安岡 俊雅  (株式会社DEPOC 代表取締役)

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